不条理

世界は不平等で
実力だけじゃない。目に見えない何かによって切り開かれる未来もあるってこと。そしてその形なきものこそが。人の本来の可能性だってこと。
不器用な僕にはただ実力を磨くことしか出来なくて。
理解できても…納得なんて出来っこない。

ちっぽけな世界

子どもの頃の僕は…

世界はものすっごく広くて。キラキラしてて。
そのなかの僕はちっぽけな点みたいな居ても居なくても変わらない、たいしたことない存在なんだ。

そう、本気で思っていたんだ。
別に悲観してるわけでもなんでもなくて。
宇宙のような無限を感じていたんだ。


だけど大人になるにつれて…
知恵と知識がついて。
社会の仕組みがわかってきて。

広いと思っていた世界も、なんのことはない無数の小さな集団の集合体で。
そう、蜘蛛の巣のようなもの。

キラキラしてなどいなくて。「みんなと一緒」が嫌いな僕には、世界がだんだんと窮屈になっていった。

それでも何も知らなかった頃の僕にはもう、戻れないから。
息苦しくても
息が止まるまで歩き続けるしかない。

自分の価値をみいだせるようになるまで。

歯車の中の、中枢のネジになれるように。
僕がいなければ壊れてしまう世界になるように。

願いを込めて…今日も僕は働く。

本物と偽りの。

「ねぇ、愛と友情は天秤にかけられると思う？」

ありがちなその質問の意図がわからず黙っていると…

そんなものそもそも天秤にかかるような重さの比じゃない、って。

恋愛は病気で友情は感情。
病気に理性は働かない。恋愛は人を殺したって手に入れたいと思う衝動で。
はなから比べものにならないほど重い。

「要するに天秤にかかるのは愛と愛だけだよ」

その突飛な答えに妙に納得してしまった僕は、じゃあ今までは何だったんだろうと。

…愛情や恋情なんてゆうのは精神錯乱。
どんな平穏よりも安らいで、どんな激情よりも、熾烈な病気だ。

だったら僕は今までは誰も好きになったことはないってことか。
そんな衝動を抱いたことはまるでない。


…だから長続きしないのかな。

潔さと、背中合わせの。

"諦めるのは得意なの"
強がりを言う君の顔は、笑っているのに泣きそうで。

さよなら、と呟いたその声は一抹の寂寥を孕んで。

美しい装飾は味気ない中身を隠すためのもの。

なんで人は恋愛話が好きなんだろう。
所詮、恋愛なんて脳が送る電気信号による錯覚でしかないのに。


「先輩はどんな娘がタイプなんですか～」

「俺は、そうだな。家庭的な子かな。おっとりした子がいい。」
「あー、ぽい！好きそう」
「でも先輩が相手に困ることはなさそう。」


「君は？どんな人がタイプなの？？」
話に参加してなっかのに急にふられて驚いた。



「え、わたし？わたしは・・・」


それでも人は愛を求める。
もちろんわたしも例外ではなくて。




“臆病で疑り深い私の孤独を満たしてくれる人”

そんなこと言ったって解ってもらえるわけがない。



「懐の広い人・・・かな？」



それすらも自分を飾った言の葉。

塗り固められた嘘という衣を剥ぐのは容易ではない。



・・・ほんと、他人のことなんて解るわけないのになんで恋愛するんだろ。